BWV631「来たれ、創り主にして聖霊なる神よ Komm, Gott Shoepfer, heilliger Geist」。
チェロでの多重録音。
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コラールはもともとは中世のグレゴリオ聖歌で、ルターがドイツ語に翻訳してメロディーを多少アレンジしたものとのこと。
録音は、4声で、
ミックスダウンで、左から、2nd、1st、3rd、4thとふった。
2ndと3rdのからみが結構面白いもので、それが聞きとりやすいように。
4thのバスは、8分の3拍目に音を入れるという妙な作りになっている。
楽譜はコチラに ↓
『バッハ全集』などの解説によると、休符を2拍置いて3拍目に音が来るというのは、三位一体(父・子・聖霊)の3番目の存在である聖霊の象徴とされてきた、などとあるが、う〜む・・・(苦笑)。
バッハがこのコラールを使っているのはBWV370、BWV631a、BWV667。
BWV667は後年の『18曲のコラール集』に収められている曲だが、このBWV631に大幅に加筆したもの。前半は631と全く同じで、後半がさらに壮大な展開を見せる大曲。
ちなみに、このコラールについては、wikiに記事があった(コチラ→)が、そこには”BWV1005(無伴奏ヴァイオリンのソナタ3番)にも使われている”と書かれている。おそらく2楽章のフーガの旋律のことだと思うが、ちょっとこれはこじつけではないかな・・・(笑)。
川端純四郎先生の『バッハのコラールを歌う』によると、
このコラールの原曲は「日本で最初に歌われた賛美歌でもある」とのこと。「最初に」というのは、キリシタンが日本に伝来した戦国時代、ということ。
キリシタンの礼拝などをするためのマニュアル本として、『サカラメント提要』という日本最古の楽譜が1605年に長崎で出版されているのだが、そこに19曲のグレゴリア聖歌が掲載されていて、そのうちの1曲として、このBWV631のもとのグレゴリア聖歌もふくまれているとのことだ。
ルターによって、このコラールを掲載した本が出版されたのが1524年、
フランシスコ・ザビエルが日本にキリスト教を伝えたのが1549年、
『サカラメント提要』出版が1605年、
16世紀から17世紀にかけて、ドイツと日本で同じ曲ーーールターによるアレンジが入っているので、正確には「同じ」ではないがーーーが民衆によって歌われていたと思うと、興味深い。
*『サカラメント提要』については、こちらが参考になります。
→ http://www.city.saikai.nagasaki.jp/av/Sacramenta/index.html
*また、いつも、歌の多重録音ですばらしい演奏を聴かせていただいているPromusicaさん(「Promusicaによるルネサンス音楽」)が、BWV631の原曲とは違う曲ですが、やはりこの『サカラメント提要』の中から「タントゥム・エルゴ」という曲をアップしているので(コチラ→)、ぜひ聴いてみてください。
この曲の原曲については、私も以前歌った事があります。そのうち録音もしてみたいと思います。
たぶんこの曲だと思います。
http://www.city.saikai.nagasaki.jp/av/Sacramenta/music.html
の15曲目
Veni Creator Spiritus
http://www.city.saikai.nagasaki.jp/av/Sacramenta/15.mp3
ではないかと思います。(違ってたらごめんなさい)
元のHP
http://www.city.saikai.nagasaki.jp/av/index.html
コメント入れていただきありがとうございます。
Veni Creator Spiritus で間違いないと思います。聞き比べてみると、旋律の大きな流れはまあ同じようですが、かなり意識しないと原曲がこれだとはまず気がつきませんね。ルターがラテン語をドイツ語に翻訳した時に、おそらく言葉に合うように旋律をアレンジしたのでしょうが、結構いじっている感じです。
バッハのカンタータは対訳本を買って、これからが楽しみです。バッハではありませんが、パッヘルベルのシャコンヌなんて多重録音でいかがですか。
チェロ三重奏版がありますよ。
それからシュッツのモテット、コラール。
コメントありがとうございます。
バッハのカンタータの対訳本と言うと、最近新版になった本のことでしょうか。いいですね。
カンタータの世界は本当に奥が深いので、それだけ生きる楽しみになります。
パッヘルベルのシャコンヌは初めて知りました。調べてみたいと思います。
シュッツはほとんど聴いたことがありません。
しかしこのあたりは、バッハに限らず偉大な作曲家だらけで、考え出すときりがないですよね。
個人的にはヴィヴァルディの宗教曲などはかなり惹かれます。
ヴィヴァルディの宗教曲はとても斬新な曲が多いですね。
通奏低音も格好良すぎます。
>シュッツとバッハでモテットを比べたらシュッツの方が好きですね。
そうですか。僕にとってはバッハのモテットは格別なのですが、シュッツも聴いてみたいと思います。教えていただきありがとうございます。
>ヴィヴァルディの宗教曲はとても斬新な曲が多いですね。
僕もそんなには聴いていないのですが、
映画『シャイン』にも使われていたRV.630「まことの安らぎはこの世にはなく」がたまらなく好きなのです。この世で一番美しい音楽は何かと問われたら、間違いなくこの曲を推します。
7歳から15年間ピアノを習い、小学校で鼓笛隊トランペット、中学校で吹奏楽部クラリネットを演奏していました。22歳から17年間、楽器とはブランク。
39歳にして憧れのパイプオルガンで音楽生活に復帰です。
この年で両手、両足はきっつい!しかし、64ストップ大オルガンをこの手で弾ける幸福は、何物にも代えがたいと思っています。
『来たれ…』の練習中、ちょい休憩…とパソコンを開いていてこちらのブログに出会いました。
また、お邪魔させていただきます。
ようこそいらっしゃいました。
パイプオルガンを習っておられるのですか、いいですねえ。素晴らしい。
僕ももしピアノが少しでも弾けたならパイプオルガンを習っていたかもしれません。それくらいあこがれがあります。
最近、バッハの「オルガン小曲集」の曲で検索をするとこのページが結構上位にくるようで、なんか、バッハとバッハを愛するみなさんに申し訳ないような気がします(苦笑)。
これからもよろしくお願いします。
、汗だくでくたくたです。
『来たれ…』をオルガンで奏する場合は、12/8拍子ということで、1小節に三拍子4つとして「ターランタン・ターランタン…」を意識しながら1拍目を強く、あとはデクレッシェンドで、コラールと内声を揃えます。ここまではいいのですが…
「父・御子・聖霊」を表すというバス、すなわち
ペダルは、両手を軽く押さえる三拍めにドンと入れなくてはならず、手の動きと全く逆を行くので、オルガンでは大変難曲です。
ペンテコステのシーズンの曲ですが、東京芸大オルガン科出身の先生でさえ、練習をつんでいない時は弾いて下さらないくらいです…
私も、この曲は多分死ぬまで修行です。
僕は経験がありませんが、パイプオルガンを弾くというのはかなりの肉体労働なんでしょうね。お疲れ様でした。
『来たれ…』のバスは、バッハは一体何考えているのでしょうね(笑)。もし他の作曲家がつくっていたとしたら酷評されているでしょうね。
ひょっとしたら、信仰上の意味というよりも、自分の技を誇示するという目的が実はあったりして…(笑)。