2012年10月31日

10/31は「宗教改革記念日」 メンデルスゾーンとコラールとバッハ

今日、10/31は「宗教改革記念日」。
マルティン・ルターが宗教改革ののろしをあげた日であるらしい。

バッハやキリスト教音楽は好きだが信仰は特に持っていないので正直な所、ああ、かなり歴史的な日だったんだ、くらいの漠然とした感慨しかないのだが。

実は今日が「宗教改革記念日」だということも昨日まで知らなかったのだが(苦笑)。

今日はたまたまメンデルスゾーンの交響曲「スコットランド」を聴いていた。
そして「そういえば交響曲2番の『讃歌』ってほとんど聴いたことがないなあ」とふと思い、軽い気持ちで聴きはじめた。

そしてこの曲の第8曲がコラールになっているのだが、なんか異様に美しいので興味を持って調べてみるとこれは「Nun danket alle Gott 感謝にみちて」というコラールとのこと。

ひょっとしたらバッハが使っているんじゃないかと思い、こういう調べ物ではいつもお世話になっているサイト「バッハの教会カンタータを聞く」で調べてみると、BWV79、BWV192、BWV252、BWV386、BWV657でバッハも使っていた。
BWV79とBWV192は教会カンタータだが、特にBWV192はこのコラールをもとにしたいわゆる”テキスト・カンタータ”。

バッハはどういうふうにこの旋律を使っているんだろうと思い、実際にこのBWV192を聴いてみると、実に魅力的な曲だった。

そこでこの曲について、これまたいつも調べ物でお世話になっている「♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜」で調べると、BWV192を解説しているこちらの記事に出会うことができた。そして他の記事の中だが、この曲は一般的にはいつどういう機会で使われたのかは不明とされているらしいが、「宗教改革記念日に使用されている可能性もある」との記述もあった。

「宗教改革記念日ってなんだろ」と思いググってみると、実は今日10/31が宗教改革記念日だったということを知ったという次第。

考えてみると、最初の出発点はメンデルスゾーンだったわけだが、”メンデルスゾーンと宗教改革記念日”といえば実は交響曲5番がもろに「宗教改革」というタイトルとおりに、この日を記念する目的で作った交響曲だった(本人はかなり不満な出来栄えだったようであるが)。

だから直接この5番から入ればストレートに「宗教改革記念日」に至ったわけだが、そうはならずに、違う入り口から入ってぐるぐる迷いに迷って出てみたら、実は出口は入り口の真横だった、というような感じで、我ながら苦笑してしまった。

でも、面白いものだ。

”メンデルスゾーンとコラールとバッハ”というのはかなり奥深い、興味深いテーマのような気がする。
前にもこんなことを書いたことはあるような気がするが。
バッハも教会カンタータでは曲によってコラールをさまざまに使っている。たとえば複数のコラールを組み合わせてみたり、旋律だけを通奏低音に弾かせて暗示的に使う、などいろいろやっている。
メンデルスゾーンも多分同じようなことをやっているんじゃないかな。
今回の「讃歌」とか、「パウロ」とか、明示的な使い方だけでもかなり多いのだが。

こんな切り口で調べると多分新しいメンデルスゾーンも見えてくるような気がする。


ちなみに余談だが、バッハがこのコラールを使っている別の曲としてBWV252があるが、これはBWV250、BWV251とあわせて3曲セットで結婚式に使われた曲だそうな。
非常に明るくて、しみじみと幸せ感が広がるような、でも長さ的にはコンパクトな面白い曲集だ。




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posted by たこすけ at 23:49| Comment(2) | TrackBack(0) | メンデルスゾーン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月14日

メンデルスゾーンについての覚え書き <4> エライぞ!メンデルスゾーン



私の現在の趣味はこの哀れなオーケストラを改善することです。

私は果てしもなく手紙を書いたり、泣きついたり、せがんだりして、やっと彼らの給料を500タラー上げてもらうことに成功しました。

ここを去るまでには、2倍にしてみせます。

もしそれが許可されるなら、聖トマス教会学校の前に、記念碑を建てようがいっこうに構いません。



『三代のユダヤ人 メンデルスゾーン家の人々』(ハーバート・クッファーバーグ著 横溝亮一訳 東京創元社)から (248p〜249p)

メンデルスゾーンの手紙の抜粋です。

ここで出てくるオーケストラとはゲヴァントハウス管弦楽団。

500タラーとはどれくらいになるんだろう。
ネットでさっと調べたら「1タラー=6,000円くらい」とか「幅を持って数千円」とかあったが、6,000円だとすると300万円か。
正確な額はわからないが、いずれにせよ、年額で100万円単位で給料アップを勝ち取ったということはなかなか凄いことだ。

しかもそれをさらに倍にしようというのだから。

逆に言うと、それ以前のオケの報酬水準がいかに劣悪だったのかということでもある。

当時のオケの演奏水準のレベルの低さはいろいろなところで読める。

大きな時代的な流れで言うと、18世紀から19世紀にかけての貴族階級の没落で音楽家達が貴族から経済的に自立していく時代。作曲家として象徴的な存在がモーツァルトであり、ベートーヴェンだ。
大作曲家としてのベートーヴェンですら貴族から自立した音楽家として生きていく上で散々あんなに苦労したわけで、そうではない多くのプロの演奏家たちがどれだけ苦労したかは想像に余りある。

ゲヴァントハウス管弦楽団は「1743年、世界初の市民階級による自主経営オーケストラとして発足した」とのこと(wikiより)。
こうしたオケのありかた自体が時代を先取りする存在だったわけだが、しかし団員の給料は低く、副業で追われ、練習もちゃんとできず、演奏会を開いてもなかなか散々な出来だったんじゃないか、と容易に想像つく。

そんな状況でメンデルスゾーンは26歳で指揮者に就任する。そして着手したのがオケの待遇改善だったわけである。結果、ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏レベルは格段に上がったらしい。

つまり一言で言うと、時代に先駆けて、プロオケを本当にプロオケらしくしたのがメンデルスゾーンだった、ということになるのではないか。





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2012年04月28日

メンデルスゾーンについての覚え書き <3> ”バッハづくし”のオルガンコンサート

メンデルスゾーンについての覚え書き、
<2>としてピアノトリオのコラールについて、まだ続きとしてPart3(Part4も?)があるのだが、なんとなくその前に<3>として、メンデルスゾーンのオルガンコンサートについて。

単に図書館から借りていた本の返す期限が迫っているので、先に記事にしたというだけなのだが。



メンデルスゾーンとバッハとの関係では何といっても1829年の『マタイ受難曲』の上演があげられる。これは有名な話。

一方、僕も最近知った話として、メンデルスゾーンは(おそらく)史上初、”バッハづくし”のオルガンコンサートを行った人でもある。

以下の話は、小学館の『バッハ全集』の9巻におさめられている星野宏美さんによる
「楽器の王、バッハの楽器ーーーメンデルスゾーンのチャリティーコンサート」という論文によります。

このコンサートは1840年8月6日、ライプツィヒの聖トーマス教会ーーーあのバッハの活躍の中心となったーーーで開催された。
なんのための「チャリティー」だったかというと、バッハの記念碑を聖トーマス教会のそばに建設するための資金を集めるためのものだった。



プログラムは次の通り(星野さんの推測をまじえて)

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2012年04月22日

メンデルスゾーンについての覚え書き <2> ”ピアノトリオのコラールの正体は? Part2”

前回のPart1に続き、
”ピアノトリオのコラールの正体は? Part2”です。

前回の記事の最後にポイントとして
@ 元になっているコラールは『Vor deinem Thron tret Ich hiermit 汝の御座の前に』ではなく、『 Gelobet seist du, Jesu Christ 讃美を受けたまえ、汝イエス・キリストよ』ではないだろうか?
  ただし、もとのコラールの旋律をかなり独自にアレンジしてあるものである。
A バッハの曲よりも、むしろショパンのあるピアノ曲に極めて似ている。
B メンデルスゾーンのバッハへの何らかの思いの現れであると同時に、ショパンとの交流の一つの形だった可能性は考えられないだろうか。

と書いた。今回はその@について。
要するに、何のコラールが元になっているか、ということである。

▼BWV668のコラールはどういうものか?

wikiなどでは、このコラールはバッハが生前に最後に作曲したといういわくつきのBWV668でも使われている”Vor deinem Thron tret Ich hiermit 汝の御座の前に”ではないか、と書かれていて、ネット上でもその線で書かれている文章も見る。
ではこのコラールはどういう旋律かというと、

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posted by たこすけ at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | メンデルスゾーン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月16日

メンデルスゾーンについての覚え書き <2> ”ピアノトリオのコラールの正体は? Part1”

前回の記事に続いて、メンデルスゾーンについて。

色々と問題意識はあるのだが、
今回はそもそもメンデルスゾーンにハマるきっかけとなったピアノトリオ2番、その4楽章で使われているコラールの正体についての途中経過的なメモ。

結局、結論はまだ出ていないのだが、また新しいことも知ることができたので、そんなところも含めて途中経過的な報告。

改めて、ピアノトリオ2番の4楽章 ↓



コラール旋律は1回目、2分50秒あたりからピアノで歌われ、2回目は曲のクライマックスで5分45秒あたりからピアノが最初の節を歌うのに続いてバイオリンが高らかに歌い上げる。

さて、このコラール旋律は一体何か、ということである。



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2012年04月12日

メンデルスゾーンについての覚え書き  <1>

最近メンデルスゾーンにずっぽり。
きっかけは前の記事の通り。

メンデルスゾーンの人間について興味を覚えたので図書館などで本を探してみた。
意外にもないもので、この辺も色々と歴史的な経緯をいろいろ勘ぐってしまうのだが、でもいくつか参考になる本を知ることはできた。

覚え書きの意味で以下にまとめておく。


メンデルスゾーン―美しくも厳しき人生 (作曲家の物語シリーズ) [単行本] / ひの まどか (著); リブリオ出版 (刊)

メンデルスゾーン―美しくも厳しき人生 (作曲家の物語シリーズ) [単行本] / ひの まどか ...

この「作曲家の物語シリーズ」、子ども向けとあなどるなかれ。丹念な取材、対象への深い愛情、わかりやすい書きっぷり、など、大人が読んでも面白いし勉強になる。よく知らない作曲家について勉強してみようかなと思った時に、まず手に取るのにふさわしいシリーズだと思う。その辺の専門書ヅラしている本や妙な評論家の本などよりも、深く、何よりも愛情を感じるし、曲を聴きたくなる。絶対にオススメのシリーズ。
以前、このシリーズのバッハを読んだ時には、図書館で読んでいたのだが、最後のバッハの臨終の場面で涙が出てきてしまって困ったことがあった(^_^;) 大体、バッハの伝記本などで感情移入してしまうことなどほぼ皆無だったのに。





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posted by たこすけ at 09:20| Comment(0) | TrackBack(0) | メンデルスゾーン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする